大家さんの話~80過ぎた爺さんでも亡き妻を想い涙を流す…

海にたたずむ男性

大家さんの話

ひとりになってから、3回目の家賃を払いに大家さん宅へ。

ご近所なので、いつも直接、家賃を渡しに行っている。

 

最近はもう、夫のことを聞かれることもなくなってきて

もっぱら大家さんの話になってきた。

その方がいい(  ´・ω)

夫がいた日常が、薄れていってしまうのは寂しいけれど…

夫のことや、病気のことを聞かれるのは

まだキツイから。。

 

 

そういえば…

この大家さんも、数年前に奥様を亡くしているんだけど

その時の衝撃がかなりすごくて。。

その時の話を少し…

大家さんと奥様の話

奥様は亡くなるちょっと前から、認知症を患っていて

大家さんはそれをご近所に公表していた。(万が一に備えて)

 

そしてある日

奥様がいなくなったと大騒ぎになり

ご近所の方たちや警察を呼んで探したけど、見つからず。

 

翌朝

遠く離れた、小さな漁港の

漁船が停泊している海の中で、発見された。

 

そこは昔

奥様が子供だった頃に、暮らしていた家があった場所で

どうやら、歩いてそこまで行き

誤って海に落ちたのか、船に乗ろうとしたのか。。

 

葬儀後、棺に花を添える際

大家さんは

人目もはばからず、男泣きしながら…

「ごめんな。ごめんな。寒かったな。苦しかったな。淋しかったな。ごめんな。気付いてやれんとごめん。ごめんな…」

と棺にしがみついて、ずっと謝っていた。

出棺する際も

棺から離れようとしない大家さんを、息子さんたちが抱きかかえて。

それでも大家さんは、ずっと言い続けていた…

 

その光景を見て、参列者も皆、泣いていた。

とてもつらくて、悲しい葬儀だった。

 

日頃の大家さんは

ガチャガチャッとした、やんちゃなお爺さんって感じだったので

よけい悲しみが伝わって、今も心に残っている。

その後の大家さんは…

でも、今や

楽しそうに家事をこなし

畑を作って、花を育てて(奥様に供えるため)

毎日友達が来て…

人生を目一杯謳歌されているそうで。。

見習いたいものだ。。

 

人生の先輩として、大家さんは

「大丈夫や。時間が解決してくれる」

「わしは、あいつの分まで楽しく生きて土産話いっぱい持ってったろ思うとるけど、無性に寂しなる日もある」

「そやけど、やっぱり時間が薬やな…」

「80過ぎた爺もあんたと同じ、嫁さん亡くせばつらいんや」

「こんな爺でも夜はひとり、嫁さん思うて泣く日もあるんやで…笑」…と

夫が亡くなってから、初めて家賃を持って行った日に言ってくれた言葉だ。

 

 

私もいつか、大家さんのように

夫の分まで楽しく生きて、土産話をいっぱい持って…って

思える日が来るといい。。

 

今はまだ、ぜんぜんムリだけど。。

そんな日が来るとは、ぜんぜん思えない状態だけど。。

でもきっと、時間が解決してくれるよね。。

ゆっくりでも、私のペースで流れている時間に任せよう…今は(  ´・ω)

 

どうか、すべての人が心穏やかに過ごせますように(-人-〃)祈

 

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